歌舞伎界の名門・十代目岩井半四郎の次女として生まれ、何不自由なく育った仁科亜季子。松竹作品や時代劇で活躍し、正統派のお嬢様女優として将来を嘱望されていた彼女が選んだのは、荒々しい東映の任侠映画で主演を張り、夜の街を豪快に闊歩する松方弘樹だった。
育った環境も価値観もまるで異なる二人の交際は、当然ながら仁科の家族から猛反対を受ける。それでも彼女の決意は揺るがなかった。松方の前妻との離婚成立を経て、1979年に晴れて二人は結婚。披露宴の席で見せた仁科の晴れやかな笑顔は、世間の非難をねじ伏せるほどの純愛を証明したかに見えた。