多くの旅行者が疑問に抱くのが、「現在でも本当に世界一の長さなのか」という点です。調査報道の観点から事実関係を整理すると、1989年のギネス認定以降、海外各地でこの記録を更新する長大ベンチが建設されました。例えばイギリスのブライトンやスイスのジュネーブなどで数百メートルから1キロメートルを超えるベンチが登場し、公式なギネス世界記録の最長記録そのものは塗り替えられています。
しかし、石川県志賀町では今も親しみを込めて「世界一長いベンチ」という名称が公式スポット名として大切に継承されています。これには単なる数字の優劣を超えた、明確な歴史的・文化的背景が存在します。
第一に、このベンチが「世界記録への挑戦」という地域活性化運動のパイオニアであったという事実です。第二に、現在においても日本国内における単独の木製ベンチとしては最長クラス(日本一長いベンチ)を維持している点。そして何より、商業施設やテーマパークの構造物ではなく、純粋に海を望む公共の景勝地として町民の手によって整備されたというオリジナリティが、今なお色褪せない価値を放っているためです。