事態の深刻化に、誰よりも心を痛めているのは長年ルールを守り続けてきたプロの鉄道写真家たちだ。各地で撮影地が立ち入り禁止となり、高いフェンスが張り巡らされ、鉄道会社と愛好家との間に築かれていた長年の信頼関係が音を立てて崩壊している。
第一線で活躍するベテランの鉄道写真家は、重い口を開いた。「鉄道写真の本質は、社会インフラとしての鉄道への敬意と、その風景を記録する文化的な営みにあります。しかし今起きているのは、被写体への敬意を完全に欠いた一方的な略奪行為です。このままでは、日本が世界に誇ってきた鉄道カルチャーそのものが社会から完全に排除されてしまう」
実際に、かつて名撮影地と呼ばれた場所の多くが、地元住民からの苦情や安全上の懸念により次々と閉鎖されている。一部の暴走行為が、誠実に活動する大多数のファンから表現の場を奪い去るという残酷な現実がそこにある。