実写化においてファンが最も注目している要素の一つが、原作の舞台となった「聖地」の再現性です。『秒速5センチメートル』は、日本の実在する風景を情感豊かに切り取ったことで知られています。
取材班の調査によると、第1部「桜花抄」のクライマックスである大雪の栃木県・JR両毛線「岩舟駅」のシーンや、貴樹と明里が通った世田谷・豪徳寺周辺の踏切、第2部「コスモナウト」の舞台となった鹿児島県・種子島(中種子町立旧中種子高等学校周辺や種子島宇宙センターを望む海岸線)など、原作の根幹を成す重要拠点でのロケーション撮影が綿密に行われました。CG合成に過度に依存せず、本物の雪、本物の夕暮れ、本物の波音といった自然現象を愚直にフィルムに焼き付ける奥山組の撮影スタイルが、実写版ならではの説得力を生み出しています。