この革新的なアプローチは、ポップスやロックの現場で突然生まれたわけではない。20世紀半ば、アメリカの現代音楽作曲家であるエリオット・カーターが確立した理論がそのルーツだ。彼は弦楽四重奏曲などで、時間の流れそのものを自在に伸縮させるスコアを次々と発表した。
カーターの意図は明白だった。静的なテンポという概念を打ち破り、音楽に「時間軸のグラデーション」を与えること。楽譜上に緻密に描かれた拍の変容は、当時のクラシック界に大きな衝撃を与えた。数学的でありながら極めて感情的なそのスタイルは、のちのジャンルを超えたクリエイターたちへ受け継がれていく。