拘置所の面会室、アクリル板の向こう側から届いた便箋には、かつてSNSを席巻した軽薄なジャーゴンとはまるで異なる、乾いた告白が並んでいた。独自取材によって入手した複数の未公開手記には、犯行当時の精神状態や、金銭への執着の根底にあった虚無感が赤裸々に記されている。
「お金を奪うことだけが、自分がここに存在していい唯一の証明だった」。罫線からはみ出すほど細かく震える筆跡で、彼女はそう吐露していた。マニュアルに記されていた「おぢ」への冷徹な心理分析の裏で、本人は深刻な承認欲求と自己崩壊の恐怖に怯え続けていたことが窺える。法廷では語られなかった夜の街の貸借関係、親族との断絶、そして最後まで手放せなかったノートに走り書きされた「本当は誰かに助けてほしかった」という一文は、単なる悪女の記号には収まらない生々しい人間像を突きつける。