ピンチの場面、マウンドに集まる内野手たちの表情に悲壮感はない。それどころか、選手同士で活発に意見を交わし、笑みがこぼれることさえある。かつて高校野球界を支配していた「ベンチからのサイン待ち」という光景は、ここには存在しない。松商学園が取り入れたのは、選手自身が状況を判断して作戦を選択する「自主駆動型」の思考プロセスだ。
ノーアウト一塁の場面でバントを選択するのか、あるいはカウントを追い込まれる前に打って出るのか。グラウンド上の9人が同じ絵を描き、瞬時に最適な解を導き出す。この自律した判断力こそが、相手投手のテンポを狂わせ、一気に大量得点を生み出す最大のエンジンとなっている。