井手上漠を語る上で欠かせないのが、フォトエッセイ『normal?』の存在だ。タイトルに刻まれた「普通とは何か?」という問いかけは、多様性が叫ばれながらも未だ偏見の残る現代社会への静かな抗議であり、同時に最大級の愛のメッセージでもあった。
ページをめくるたびに現れるのは、固定観念で分類されることを拒絶した「生の美しさ」だ。この作品を通じて示されたのは、ジェンダーレスという言葉すらも置き去りにするような個の確立であった。自分を愛し、他者を尊重することの美しさを提示したこの一冊は、読者の心に深く刺さり、今なお多くの人々のバイブルとして読み継がれている。