冷やし中華の歴史を紐解くと、昭和12年(1937年)の夏へと辿り着く。当時の日本にはまだエアコンなど存在せず、猛暑の時期になると熱々のスープをすする客足は途絶え、中華料理店は死活問題に直面していた。
その危機を打開すべく立ち上がったのが、仙台市中華料理組合の面々だった。中心となったのは、組合長を務めていた「龍亭」の創業者・浅田四郎氏である。職人たちが知恵を絞り、茹でた麺を氷水でキュッと締め、酸味と甘みのあるタレを合わせるアイデアを考案した。
ベースとなったのは、中国の伝統的な和え麺である涼拌麺(リャンバンメン)だ。しかし、当時の日本人の口に合うよう、チャーシュー、きゅうり、玉子焼きなどの彩り豊かな具材をのせ、涼しげな見た目とさっぱりした味わいに昇華させた。これこそが、現代まで愛され続けるご当地麺の歴史的瞬間であった。