大島新監督による『なぜ君は総理大臣になれないのか』の上映時には、連日満席の立ち見が出るほどの社会現象が巻き起こった。一人の政治家の姿を17年間にわたって追い続けた本作は、政治への冷めた視線を吹き飛ばし、観客の心に火をつけた。SNSでの口コミが爆発的に広がり、劇場前には長蛇の列ができた。
独立系ミニシアターでのロングランヒットは、日本映画産業におけるひとつの金字塔となった。興行収入や宣伝規模の大きさだけが映画の価値ではない。本当に面白い作品、人々の心を揺さぶるドキュメンタリー映画は、口コミの力で大きなムーブメントを起こせることを証明したのだ。客席から湧き上がった熱狂は、政治ドキュメンタリーの可能性を大きく切り拓いた。