神話学者ジョセフ・キャンベルが提唱した「神話の法則」、すなわちヒーローズ・ジャーニーは、何十年もの間、ハリウッド映画をはじめとするグローバルエンタメの根底を支えてきた。主人公が慣れ親しんだ日常を離れ、未知なる試練を乗り越えて変貌を遂げ、新たな価値を持って帰還する古典的パターンだ。
しかし、近年のヒット作は伝統的枠組みの単純な踏襲にとどまらない。価値観が多様化した現代社会を映し出すように、王道の物語構造は一度解体され、再構築されている。主人公が内面的な葛藤を抱えたまま苦悩したり、敵対する存在に独自の倫理観が与えられたりする変形的アプローチが増加した。伝統的な神話の型を現代的な視点でどうアップデートするか。それこそが時代を越えて愛される作品の境界線となっている。