和服に身を包み、小柄で可憐な姿でありながら、内面にはゾルディック家特有の冷徹な殺気と類稀なる暗殺術を秘めたカルト=ゾルディック。彼がヒソカの脱退後に幻影旅団の団員ナンバー4として電撃加入したシーンは、読者に大きな衝撃を与えた。
なぜ世界屈指の暗殺一族の御曹司が、危険極まりない犯罪組織である幻影旅団へと身を投じたのか。その答えの鍵は、キメラアント編のグザン市(流星街)における戦闘シーンに隠されている。カルトは師団長クラスの蟻を相手に圧倒的な実力を提示しながらも、フィンクスやフェイタンらの常軌を逸した動きを目の当たりにし、己の能力の未熟さと増長を自覚させられた。そこで彼が心の中で呟いた「兄を取り戻すため」という一言こそが、すべての行動原理だ。
単なる強さへの欲望ではない。カルトの目的は、一族の歪んだ人間関係や呪縛から解き放たれること、あるいは自身が追い求める「兄」との絆を再構築することにある。旅団加入は、その膨大な力を利用し、かつ自身の念能力や実戦勘を飛躍的に高めるための戦略的手段なのだ。