狂乱の1980年代後半、地価高騰の波に乗って銀行から巨額の資金を引き出し、投機に走る事業者が後を絶たなかった。だが、泰吉郎は一貫してそうした狂騒を冷ややかに見つめていた。彼の本質は、どこまでも「土地の利用価値」を見つめる経済学者だったからだ。
「土地は投機の対象ではなく、人間が働き、暮らすための生産手段である」
この極めてオーソドックスな経済原論を実業の場で実践し続けたことこそが、最大の勝因だった。短期的なキャピタルゲインではなく、長期にわたる安定したインカムゲインを街の付加価値向上によって生み出す。世界一の富を手にしながらも、一切の虚飾に惑わされなかった創業者の強靭なリアリズム。それこそが、今もなお東京の地表にそびえ立つヒルズ群を支える、最も堅牢な基礎杭なのである。 (出典: 森 泰 吉郎(Yahoo!ニュース))
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