かつて週末になると開店前から数十人の行列を作り、数時間待ちを記録したNEW NEW YORK CLUB 自由が丘と、オフィスワーカーや感度の高い住民で賑わったNEW NEW YORK CLUB 麻布十番。両店舗の歩みと、実店舗の幕引きに至った背景には、日本の飲食業界が直面した構造変化が色濃く反映されています。
自由が丘店は、ブランドの創業地としてニューヨークのライフスタイルそのものを提案するセレクトショップ兼ダイナーとしてスタートしました。その後、ベーグルサンドイッチの需要急増に伴い、テイクアウト主体の旗艦店として麻布十番へ進出。しかし、2020年代初頭の世界的パンデミックによる人流激減やテナント契約の更新時期、さらには原材料費の高騰が重なり、店舗運営のコスト構造は大きく変化しました。
外食産業の動向に詳しいアナリストの分析によると、「写真消費(インスタ映え)を目的とした一見客の獲得コストが上昇する一方で、実店舗の固定費を維持し続けるリスクを避け、ファンのエンゲージメントが高いEC通販や大型催事・キッチンカー事業へリソースを再配分するブランドが急増した」と指摘されています。NEW NEW YORK CLUBの閉店理由もまさにこの潮流と合致しており、ブランド価値を保ったままオンライン販売やお取り寄せへと舵を切ったのが実情です。