『るなしい』の作者は意志強ナツ子(いしづよ・なつこ)。過去作でも宗教的コミュニティや家族の歪みをリアルに描いてきた実力派作家だ。本作は講談社の文芸誌『小説現代』(隔月刊)に2021年2月22日発売の2021年3月号から連載を開始し、2025年4月22日発売の5・6月合併号をもって連載終了している(Wikipediaほか複数の出版情報サイトで確認済み)。連載期間は約4年2ヶ月。単行本は全5巻で、講談社から刊行されている。
タイトル『るなしい』は主人公の名前「るな」と、形容詞「虚しい(むなしい)」を合わせた造語とみられる。恋を禁じられた少女の虚しさをそのまま作品名に刻んだ、意味深なタイトルセンスだ。物語の核心は一言でいえば「信仰ビジネスと禁断の恋が交差する復讐譚」であり、ただのラブストーリーではない。社会派サスペンスとして読めるリアルな構造が、若い世代から30〜40代の読者まで幅広い支持を集めた最大の理由でもある。
連載誌が文芸誌であることも本作の特異な立ち位置を示している。少年・少女誌や青年誌ではなく、文学的な読者層を想定した誌面で展開されたことで、物語はより複雑な内面描写と社会批評的な視点を持つ。ドラマ化において「原作の深さを映像でどう再現するか」が視聴者の間で議論になったのも自然な流れだ。