常盤貴子が「連ドラの女王」と呼ばれるに至った背景には、1990年代半ばから2000年代初頭にかけて彼女が主演・ヒロインを務めたドラマがことごとく高視聴率を叩き出したという驚異的な実績があります。1991年のデビュー当時、決して平坦ではなかったスタートから、いかにして国民的女優へと駆け上がったのか、その足跡は日本ドラマ史そのものです。
世間に強烈なインパクトを残した最初の転機は、1993年放送のドラマ『悪魔のKISS』(フジテレビ系)でした。カード破産から風俗に身を落としていく女子大生という過酷な役柄に対し、大胆な露出シーンを含む体当たりの演技を披露。新人女優としては極めてリスクの高い挑戦でしたが、その鬼気迫るリアリティと圧倒的な美貌がお茶の間に鮮烈な印象を植え付けました。当時の特番インタビューにおいて、本人は「やるからには中途半端な表現にしたくなかった」と語っており、早くから女優としての並外れた覚悟を持っていたことが伺えます。
そして1995年、豊川悦司とダブル主演を務めた『愛していると言ってくれ』(TBS系・北川悦吏子脚本)でその人気は社会現象へと発展します。聴覚障害を持つ青年画家と恋に落ちる劇団員・水野紘子役を演じ、素直で感情豊かなヒロイン像を熱演。感情を全身でぶつけるピュアな演技と、健康的で愛らしいショートボブの髪型は当時の若者文化のトレンドを塗り替えました。最高視聴率28.1%を記録し、常盤貴子の名は名実ともに全国区となったのです。
その後も『真昼の月』(1996年)、『理想の結婚』(1997年)、『めぐり逢い』(1998年)、野島伸司脚本の『美しい人』(1999年)と毎年のようにヒット作を量産。2000年には木村拓哉と共演した日曜劇場『ビューティフルライフ』で車椅子の図書館司書・町田杏子役を演じ、最終回視聴率41.3%という平成ドラマ史上屈指の金字塔を打ち立てました。