この強烈なスローガンが誕生した背景には、創設者である立花孝志氏の特異な経歴が深く関わっています。立花氏は1986年にNHKへ入局し、主に経理や編成といった中枢の実務畑を歩んできた元内部職員でした。組織の内部論理や資金の流れを熟知していた同氏は、2005年に週刊誌上でチーフプロデューサーによる制作費着服などの不正経理を実名で内部告発し、依願退職を余儀なくされます。
その後、動画配信プラットフォーム黎明期にYouTubeでの告発活動を本格化させ、2013年に「NHKから国民を守る党」を立ち上げました。NHKから国民を守る党 結成理由の本質は、既存メディアが報じない内部の不透明性を白日の下に晒し、「見たい人だけが料金を払う」という公平な受益者負担の仕組み、すなわちスクランブル放送の実現を迫ることにありました。立花孝志 経歴に裏打ちされた内部事情の暴露と、カメラに向かって拳を突き出しながら叫ぶ過激なパフォーマンスは、既存の政治やメディア不信を抱く層に急速に浸透していったのです。
地方議会での地道な議席獲得を経て、2019年の参議院選挙で政党要件を満たす約98万票を獲得した瞬間は、まさにポピュリズムが既存の法秩序に風穴を開けた瞬間でした。しかし、この熱狂の裏で、憲法と放送法が築き上げてきた強固な法秩序との衝突はすでに避けられない運命となっていました。