有働由美子が独身であり続ける背景には、単なる「仕事人間だったから」という一言では片付けられない、女性としての切実な苦悩と決断のプロセスがありました。その心情は、2014年に出版された初のエッセイ集『ウドウロク』や、NHK『あさイチ』の特集企画の中で生々しく告白されています。
20代から30代にかけて、彼女は特派員としてアメリカ・ニューヨークへ派遣されるなど、NHKの女性アナウンサーとして前人未到のキャリアを築き上げていました。海外の紛争地取材や大統領選の報道に追われる日々の中で、私生活を顧みる余裕は皆無だったといいます。しかし、40代を迎えたある日、体調不良で訪れた婦人科の検診で医師から告げられた言葉に、激しい衝撃を受けることになります。
当時のインタビューや番組内で、彼女は「仕事を生きがいに走り続けてきたけれど、気付いた時には子どもを産めるリミットがすぐそこまで迫っていた」と涙ながらに吐露しています。不妊治療の可能性を模索し、卵子凍結やホルモン値の検査を受けるなど、身体とキャリアの狭間で人知れずもがき苦しんだ時期がありました。
その苦境を潜り抜けたからこそ、有働由美子の結婚観は「世間体が求める形だけの結婚」から「自分自身の魂が納得できる自立」へと昇華しました。無理に妻や母という社会的役割に自分を当てはめるのではなく、ニュースキャスターとして社会の不条理を伝え、視聴者に寄り添う生き方こそが自らの天命であると受け入れたのです。