呼吸器診療の現場において、細菌性肺炎は病変の広がり方と解剖学的な分布によって大きく「大葉性肺炎」と「気管支肺炎」に分類されます。人間の肺は右肺が3つの区画(上葉・中葉・下葉)、左肺が2つの区画(上葉・下葉)という「肺葉」に分かれていますが、この肺葉の単位で炎症が面的に広がる病態こそが大葉性肺炎です。
日本呼吸器学会などの臨床ガイドラインおよび画像診断の知見によると、大葉性肺炎は末梢の肺胞腔内に病原体が侵入し、生体の防御反応として大量の滲出液が産生されることから始まります。この滲出液が肺胞同士をつなぐ微小な連絡路である「Kohn孔(コーンこう)」や「Lambert管(ランバートかん)」を通じて、気管支の壁を壊すことなく隣接する肺胞へ津波のように波及します。その結果、ひとつの肺葉全体がすき間なく炎症で満たされる「非区域性コンソリデーション」を形成する点が病理学的な特徴です。
これに対し、気管支肺炎(小葉性肺炎)は気管支の壁から周囲の肺組織へと炎症が散布状に広がるため、両肺のあちこちに斑状・粒状の影が多発します。日常臨床における両者の違いを以下の比較表に整理しました。