2000年代初頭のアニメシーンを思い起こしてほしい。当時は重厚な世界観を持つバトルものや、複雑な伏線が張り巡らされたSF作品がヒットチャートを席巻していた。その風潮を一変させたのが、京都アニメーションが手がけた『らき☆すた』の第1話だ。頭から食べるか、尾から食べるか、クリームをつけるか——女子高生たちがチョココロネの食べ方をただひたすら語り合うだけの数分間。視聴者は最初、戸惑った。しかし、その圧倒的な「何でもなさ」こそが、日常系アニメという巨大なジャンルを確立する決定打となった。
大きな事件も世界を救う使命もない。放課後の教室やリビングで繰り広げられる他愛のない雑談。その中心で飄々と毒を吐き、アニメネタを連発する姿は、視聴者にとって「自分たちの日常そのもの」の鏡だった。ドラマチックな展開を削ぎ落とし、空気感そのものを愛でるというコンテンツ消費のスタイルは、ここから決定づけられたと言っていい。