平家物語「扇の的」を徹底解剖!那須与一の覚悟と現代語訳・テスト対策

平家物語「扇の的」を徹底解剖!那須与一の覚悟と現代語訳・テスト対策

平家物語「扇の的」を徹底解剖!那須与一の覚悟と現代語訳・テスト対策を詳しくリサーチ! 読者が気になる 情報と解説を凝縮して配信します。

多くの教科書では、与一が見事に扇の要を射切り、扇が夕日に映えて海へとひらひらと落ち、敵味方双方が感嘆の声を上げる美しい場面で終わることが少なくありません。しかし、実際の『平家物語』の原文には、その直後に極めて残酷で後味の悪い展開が記録されています。

感動のあまり舞い始めた平家の男を射抜く

与一の神技に感動した平家方から、50歳ほどの屈強な武者が船上に進み出て、扇のあった場所で熱狂的に舞を舞い始めました。敵ながらその見事な腕前に敬意を表し、場を称えようとしたのです。

これを見た源義経は、与一に対して「あの男も射て、興を添えよ(あの舞を舞っている男も射殺せ)」と無慈悲な命令を下します。与一は戸惑いながらも、再び弓を取り、舞い踊る男の首筋を正確に射抜きました。男は船底へ真っ逆さまに倒れ伏し、歓声に沸いていた現場は一瞬にして静まり返ります。

平家方は「情けなし(なんと心ない、無風流で残酷なことをするのか)」と激怒し、源氏方の中にも「あっぱれ(見事だ)」と武功を称賛する者がいる一方で、後味の悪さを覚える者が多数いました。中世武士の倫理観と戦争のリアリズムが生々しく交錯する瞬間です。

続く「弓流し」の経緯に見る義経の執念

この直後、怒った平家軍が攻め寄せ、乱戦の中で義経は自分の弓を海に落としてしまいます。義経は命の危険を冒してまで、馬を泳がせて必死に弓を拾い上げました。

家臣たちから「なぜ大将が弓一本のために命を捨てるような真似をされるのか」と諌められた際、義経はこう語ります。

「これが叔父の源為朝のような強弓であれば、わざと敵に拾わせて自慢もできよう。しかし、私の弓は弱弓である。これを平家に拾われ、『これが源氏の大将の弓か』と嘲笑されることこそ、末代までの恥である。」

「扇の的」から「弓流し」へと続く一連の章段には、自らのプライドと評判(名誉)のためには命すら投げ出す、当時の武士たちの徹底した価値観が克明に刻まれています。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。