企業の財務分析やIR資料、売上報告において最も頻出するのが、前年同期比におけるアップルトゥアップルの検証だ。
小売業や飲食業を例に考えてみよう。あるチェーン企業が「今年の売上高は前年同期比で120%に成長した」と発表したとする。一見すると絶好調に見えるが、もしこの1年で店舗数を1.5倍に増やしていたとしたらどうだろうか。全体の売上が伸びているのは単に店舗数が増えたからであり、1店舗あたりの稼ぐ力はむしろ落ちている可能性がある。
そこで用いられるのが、いわゆる「既存店売上高(同等条件比較)」のアプローチだ。新規出店や退店のノイズを排除し、1年以上継続して運営している店舗のみを対象にして前年実績と比較する。これこそが、売上分析におけるアップルトゥアップルな視点だ。
ほかにも以下のような場面でこの概念が不可欠となる。
・為替影響の排除:グローバル展開企業において、現地通貨ベースでの成長率と円換算後の数値を分けて評価する
・M&A影響の調整:買収した企業の売上を除外した「オーガニック成長(自力成長率)」を割り出す
・営業日数の補正:カレンダーの並びによる祝日数や土日数の違いを補正して月次売上を比較する