情報空間に氾濫するニキビケアの言説には、科学的根拠を欠いた都市伝説が根強く残っています。その最たるものが「ニキビには保湿が絶対悪であり、乾燥させて治すべき」という言説です。
患部を乾燥させると、角質細胞は防衛本能から自らを硬直化させ、毛穴の出口を塞ぐ「過角化」を引き起こします。結果として皮脂が内部に閉じ込められ、より巨大な炎症ニキビへと発展します。「オイルフリー」の保湿アイテムを適切に使い、水分保持能力を高めることこそが角質を柔らかく保ち、毛穴詰まりを予防する唯一の物理的解決策です。
もう一つの誤解は、「ニキビ美容液だけでクレーター状の凹凸が完治する」という過度の期待です。真皮層のコラーゲン線維が破壊されて生じたクレーターは、薬機法上化粧品や医薬部外品が作用できる角質層の範囲を超えています。美容液がアプローチできるのはあくまで「予防」「初期炎症の鎮静」「炎症後色素沈着のケア」までであり、不可逆的な凹凸に対しては美容医療(ポテンツァや炭酸ガスフラクショナルレーザーなど)の領域であることを認識しなければなりません。