世間的な知名度を決定づけた作品といえば、間違いなくTBS系ドラマ『義母と娘のブルース』です。上白石萌歌演じるみゆきの幼馴染・黒田大樹(ヒロキ)役を好演。小学生時代からの成長を自然体で体現し、不器用ながらも一途に想いを寄せ続ける姿は、視聴者の心を強く掴みました。
さらに、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』でのコーラス部員役、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』、宮藤官九郎脚本の『俺の家の話』で見せたプロレスラー役など、作品ごとに全く異なる肉体性と表情を見せつけてきました。最新の出演ドラマや映画においても、社会派サスペンスから市井の人間ドラマまで、その適応力は留まるところを知りません。
テレビ局の編成担当者は、井之脇海のキャスティング価値を次のように分析します。
「主役を食ってしまうような派手な芝居をするのではなく、主役の感情の起伏を最も引き立てる位置に的確に立ってくれる。セリフのない瞬間の視線の動かし方ひとつで、その人物が歩んできた人生の重みを語れる役者は同世代にそう多くありません。制作陣にとって、彼がキャスティング表にいるだけで作品の強度が格段に上がります」