警察によるハプバーの捜査は、映画やドラマのような行き当たりばったりの突入ではありません。半年から1年以上の綿密な準備を経て、周到に計画されます。その中核を担うのが、各警察本部の生活安全課保安係による警察潜入捜査(内偵調査)です。
私服の捜査員は、一般客を装って店舗の会員登録を行い、複数回にわたって入店を繰り返します。店内の構造、照明の明るさ、仕切りの有無、料金システム、スタッフの配置、そして実際に店内でどのような行為が公然と行われているかを克明に記録します。時には隠しカメラや小型録音機を用い、「いつ、誰が、店内のどの場所で、どのようなわいせつ行為に及び、店員がそれをどのように容認・促進していたか」という動かぬ証拠を積み上げます。
内偵によって公然わいせつの構成要件が完全に満たされたと判断されると、裁判所から捜索差押許可状(家宅捜索令状)および逮捕状が発付されます。執行のタイミングとして選ばれるのは、客が最も多く集まり、店内で違法行為が現認しやすい週末(金曜・土曜)の深夜23時から翌午前2時頃が通例です。
当時の家宅捜索に居合わせた関係者の手記によると、入口のインターホンが鳴り、従業員がドアロックを解除した瞬間に「警察だ!動くな!」という怒号とともに十数名の捜査員が一斉になだれ込みます。店内は即座に明るい作業灯で照らし出され、音楽は止められ、プレイルームを含めたすべての出口が封鎖されます。この瞬間、店舗の日常は一瞬にして刑事事件の現場へと変貌します。