表舞台には決して姿を現さないが、編集者やアシスタントなど、実際に仕事を共にした人々から漏れ聞こえる言葉は、一貫して好意的なものばかりだ。極めて謙虚で、周囲への感謝を忘れず、締め切りを遵守するプロフェッショナル。そこには、大ヒット作家にありがちな傲慢さは微塵も感じられないという。
顔という視覚情報がないからこそ、周囲の人間が語るエピソードや、本人が残したテキストの端々から滲み出る「人柄」だけが、作家の輪郭を形作っていく。それは、外見によるバイアスを排除した、最も純粋な信頼関係のあり方なのかもしれない。