ステージの上で常に笑顔を絶やさず、パワフルに跳ね回っていた彼女を襲ったのは、声帯に異常がないにもかかわらず声が出なくなる原因不明の病だった。思うようにコントロールできない喉。昨日まで歌えていたフレーズが、翌日にはかすれた空気の音にしかならない。その焦燥感は、表現者にとって死を宣告されるに等しい苦痛だったはずだ。彼女は一時、引退の二文字さえも頭をよぎったと後に語っている。
しかし、彼女は諦めなかった。医学的なアプローチに加え、ヨガやマインドフルネスを取り入れ、自らの身体と徹底的に対話する日々が始まった。焦りは禁物。少しずつ、本当に少しずつ、失われたパズルのピースを埋めるような地道な作業だった。