Web上やSNSでは、ヘアケアに関する極端な情報が氾濫しています。科学的根拠を欠いた俗説に惑わされないためにも、代表的な2つの誤解を正しく解体しておく必要があります。
「ノンシリコン神話」の誤謬:シリコーンは悪者ではない
一時期ブームとなった「シリコン=毛穴を詰まらせる悪者」という言説は、現代の毛髪科学において明確に否定されています。日本化粧品工業連合会などの公式見解でも示されている通り、化粧品に配合されるジメチコンやシクロペンタシロキサンなどのシリコーンオイルは、皮膚刺激性が極めて低く、アレルギー反応も起こしにくい安全な成分です。
コンディショナーにおいて、シリコーンはキューティクルを摩擦やドライヤーの熱から守るために極めて優秀な働きをします。ノンシリコンのコンディショナーを無理に使い続けた結果、洗髪時の摩擦が増大してキューティクルがボロボロになっては本末転倒です。頭皮に直接擦り込まず、毛髪に正しく塗布してすすぐ限り、シリコーンは髪のツヤと保護にとって強力な味方となります。
「トリートメントがあればコンディショナーは完全不要」という偏見
「トリートメントはコンディショナーの上位互換なのだから、トリートメントさえ使っていればコンディショナーは捨ててよい」という意見も散見されます。しかし、これも半分正解で半分は誤りです。
現在のトリートメント製品には、毛髪表面の被膜機能を兼ね備えた処方のものが増えているため、時間がない日常ケアにおいてトリートメント単体で済ませる設計は成り立ちます。しかし、激しいブリーチ履歴がある髪や、乾燥して静電気が起きやすい季節には、内部補修剤(トリートメント)と表面吸着剤(コンディショナー)を重ねるサンドイッチ密閉が圧倒的な効果を発揮します。単一のアイテムで全てを補おうとせず、髪の状態に応じた使い分けが求められます。