電子書籍サイトのランキング上位を席巻し続ける漫画『色気は分娩台に置いてきました』。本作は、主人公が出産を経験したことをきっかけに、自分自身の身体やメンタルの変化、そして夫との関係性に生じる大きな歪みに戸惑いながらも立ち向かっていく姿を描いたセミフィクション・コミックエッセイです。
読者をぐっと引き込むのは、作者ならではの痛快でテンポの良い語り口と、赤裸々すぎる心理描写にあります。授乳や夜泣き対応でボロボロになり、かつて持っていたはずの「色気」を分娩台の上に置き忘れてきたかのような喪失感。それに対して、父親になりきれず独身気分の抜けない夫への苛立ちなど、誰しもが一度は抱いたことのある感情が見事な筆致で可視化されています。
綺麗事だけでは決して語れない育児の過酷さと、パートナーへの複雑な愛憎をユーモアたっぷりに昇華させている点が、多くの女性読者から絶賛される最大の理由です。