ネット上の口コミを精査すると、称賛の嵐に隠れていくつかの見落とされがちな落とし穴が存在します。その最たるものが「生魚だけを食べる店」という先入観です。
実は、東力店の常連客やタクシー運転手などのプロが口を揃えて推すのが、フライや焼き魚をはじめとする「加熱調理系」のメニューです。特に「ミックスフライ定食」や大ぶりのアジフライ、カキフライは、魚卸の目利きで仕入れた極上の原料を惜しげもなく使用しており、衣のサクサク感と中のジューシーな身の厚みは専門店を凌駕するレベルに達しています。刺身目当てで訪れた同行者がフライを頼み、その圧倒的な美味さに主客が逆転する光景も珍しくありません。
もう一つの誤解は、「いつでも好きなネタが均一に食べられる」という期待です。仕入れは市場の競り状況や天候(日本海のシケ)に直結しているため、日によって魚種構成はダイナミックに変動します。高級魚であるノドグロを常に格安で食べられるわけではなく、その日揚がった最も状態の良い近海魚が豪快に盛られるスタイルこそが同店の本質です。単一のブランド魚をピンポイントで求めるのではなく、その日の海の恵みを丸ごと受け止める姿勢が求められます。