ピッチの中央で優雅にボールをキープし、一瞬の閃きでキラーパスを通す。そんなロマン主義的なトップ下は、現代フットボールにおいてほぼ「絶滅」したと言っていい。データ分析とGPSトラッキングが導入された現代、スペースは10センチ単位で管理されている。ボールを止めて前を向く時間など、トップレベルの試合には存在しないのだ。
かつてなら英雄と崇められたであろう才能が、守備時の走力不足を理由にベンチを温める光景は珍しくなくなった。ファンタジーよりも効率性。美しさよりも走行距離。この冷徹な現実が、背番号10の持つ意味を根底から揺さぶっている。