『火の国の女』は、坂本冬美のステージングの真髄を味わえる楽曲としても知られています。発売年である1991年の『第42回NHK紅白歌合戦』をはじめ、節目となる舞台で何度も披露されてきました。
紅白のステージにおける彼女の歌唱は、単に音程をなぞる歌唱ではなく、着物の袂を翻しながら鬼気迫る表情で歌い上げる演劇的な完成度を誇りました。照明の赤と阿蘇のマグマを模した演出の中、マイクを握りしめて放たれるクライマックスの絶唱は、お茶の間を一瞬で静まり返らせるほどのインパクトを残しました。
音楽評論家の間でも、「この楽曲によって坂本冬美は、演歌界の若手ホープから、美空ひばりや都はるみの系譜を継ぐ本格派のドラマティック・シンガーへと昇華した」と高く評価されています。