ファンコミュニティの間で今なお熱く語り継がれているのが、山中いのとサイの結婚理由です。物語初期からサスケへの恋心をオープンにしていたいのが、最終的に元「根」の暗殺者であるサイを選んだ展開は、連載当時に大きな驚きをもたらしました。
2人のファーストコンタクトは、原作第32巻(アニメ第284話付近)。感情を失っていたサイが、人間関係を円滑にする処世術として読んだ本に影響され、女性には本音と逆の言葉をかける作戦をとった場面です。サクラに対して「ブス」と言い放って殴られた直後、いのに対して咄嗟に口から出た言葉が「美人さん」でした。このお世辞から生まれた勘違いと好印象が、最初の小さな接点となります。
しかし、2人の関係が決定的に深まったのは、ナルトが火影になる前の空白期を描いた公式ノベライズ『シカマル秘伝 闇の黙の静もりに』での過酷な任務でした。敵の術によって洗脳され、完全に心を閉ざしたサイに対し、命懸けで精神に入り込んだのがいのの心転身の術でした。
孤独な闇に囚われていたサイの深層心理に飛び込み、絶望を打ち砕いて涙を流す彼を現実世界へと連れ戻したいの。感情を持たなかったサイが初めて心の底から救われ、いのもまたサイの脆さと真摯さに触れたことで、お世辞や外見の好みを超えた「絶対的な魂の結びつき」が完成したのです。
その後誕生した一人息子・山中いのじんの詳細に目を向けると、この夫婦の良好なパートナーシップが色濃く反映されています。父親譲りの青白い肌とクールな毒舌、母親譲りの金髪碧眼と仲間思いの熱さを併せ持ち、術においてもサイの「超獣偽画」といのの「心転身の術」を融合させた独自の戦闘スタイルを確立。いのは厳しくも愛情深い母親として家庭を切り盛りしており、木ノ葉屈指のおしどり夫婦として揺るぎない地位を築いています。