共感性羞恥についてネットで検索すると、「共感性羞恥 精神疾患」「共感性羞恥 治す 病院」といったサジェストが並ぶことがあります。そのため、「自分はメンタルが弱すぎる異常者なのではないか」「社会不適合者なのではないか」と深刻に思い詰めてしまう人が後を絶ちません。
しかし、これは明確な誤解です。進化心理学的なアプローチから見れば、共感性羞恥は人類が過酷な自然界を生き延びるために獲得した極めて高度な「社会的防衛本能」です。
原始時代、集団から孤立することは文字通り「死」を意味しました。仲間がコミュニティの掟を破って集団から排斥されたり、失態を演じて信用を失ったりする姿を見たとき、強烈な不快感や恐怖を疑似体験することは、「自分は絶対に同じ過ちを犯さないようにしよう」という強力な学習効果を生み出します。つまり、共感性羞恥とは、群れの秩序を保ち、自身が社会的に排除されるリスクを未然に防ぐためのアラートシステムなのです。
したがって、「この性質を薬で完全に消し去る」とか「性格の欠陥として無理やり矯正する」という考え方は適切ではありません。必要なのは根絶ではなく、「過剰に作動してしまうアラームの音量を適切にコントロールする技術」を身につけることです。