この事件を難解たらしめている最大の要因が、複雑に入り組んだ角田美代子の相関図です。美代子の周囲には、事実婚状態にあった夫や長男、そして暴力団関係者とも繋がりを持っていたとされる従兄弟の李憲豪受刑者(後に懲役刑が確定)など、威圧感を演出する協力者が配置されていました。
尼崎事件の被害者一覧を検証すると、複数の名家や一般家庭が美代子グループの標的となり、資産を根こそぎ奪われた末に命を落としています。主な被害世帯だけでも三つの家族が完全に崩壊に追い込まれました。
乗っ取られた各家庭の構成員は、美代子の指示のもとで暴行に加担させられたため、「被害者でありながら同時に加害者でもある」という過酷な立場に追い込まれました。この共犯関係の網の目が、外部への通報や逃走を阻む強力な足かせとなっていたのです。