紅梅園の創業は昭和43年(1968年)。日本画の巨匠や文人墨客が集った青梅の豊かな自然と風土に根ざし、厳選された梅の実を用いた菓子づくり一筋に歩みを重ねてきました。初代が心血を注いで築き上げた日本庭園には、紅梅や白梅、枝垂れ梅など約数十種に及ぶ銘木が植えられ、早春には芳香が敷地一帯を包み込みます。
この名園の歴史を語るうえで避けて通れないのが、2009年以降に青梅市全域を襲った植物ウイルス「プラムポックスウイルス(PPV)」の猛威です。感染拡大を防ぐため、吉野梅郷をはじめとする青梅市内の梅樹数十万本が伐採を余儀なくされる未曾有の危機に直面しました。当時、多くの農家や観光業者が深い喪失感に包まれるなか、紅梅園は徹底した衛生管理と苗木の保護に尽力し、梅の文化を後世へ紡ぐ砦としての役割を果たし続けた経緯があります。
苦難の歴史を乗り越えて咲き誇る梅の花と、変わらぬ製法で炊き上げられる梅餡の味わいは、単なる甘味の枠を超え、青梅という土地の不屈の誇りそのものとして地域社会に深く根付いています。