ネット上のモータースポーツコミュニティやSNS(旧Twitter・5ちゃんねる等)では、クアルタラロの残留発表直後、ファンから賛否両論のリアルな反応が巻き起こりました。「なぜ勝てるドゥカティやアプリリアを選ばないのか」「お金に目が眩んでライダーとしての全盛期を棒に振るのではないか」という痛烈な懸念の声が上がったのも事実です。
しかし、パドックの現場を取材するジャーナリストたちの見立ては異なっていました。イタリアの著名レポーターは「他メーカーのサテライトや序列が曖昧な環境に移籍するリスクよりも、ヤマハという大企業が全リソースを自分ひとりに集中させ、開発の全権を委ねる環境を選んだのは極めて合理的だ」と指摘しています。実際、MotoGPの歴史において「メーカーを渡り歩いてすぐに勝つ」難易度は年々上がっており、一から人間関係と開発チームを構築するロスは計り知れません。
サーキットのファンエリアでも、フランス国旗と背番号「20」を掲げるファンたちの熱狂は衰えていません。「勝てない時期だからこそ、ピット裏でメカニック一人ひとりと拳を突き合わせ、最後までサインに応じるファビオの人間性に惚れ直した」というファンの証言は枚挙にいとまがありません。苦難の時期を経験したことで、天才肌の少年から成熟した真のチームリーダーへと進化した彼の姿が、コミュニティの結束をより強固にしています。