初めてその姿を見る者は、黄金色に輝くスライムのような、あるいは焼きたてのカスタードプディングのような滑らかな球体に驚嘆します。中国語の読み方は「サンプーチャン(sānbùzhān)」。「三つのものにくっつかない」という意味がそのまま料理名となっており、「皿にくっつかない」「箸にくっつかない」「歯にくっつかない」という物理法則を無視したかのような挙動を示します。
熱々の中華鍋から平皿へ滑り落とされた瞬間、生地は皿の表面を水銀のように滑り、器を汚すことがありません。箸を突き刺せば、餅のように伸びるどころか驚くほど綺麗に一口大にちぎれ、箸先には一粒の破片すら残らないのです。そして口に放り込めば、求肥のようなモチモチ感とカスタードのような滑らかさを持ちながら、奥歯や前歯の裏に一切付着することなく、心地よい喉越しとともに消え去ります。
この料理の出自を辿ると、清朝宮廷料理に行き着きます。乾隆帝が江南巡幸の際にその美味に感銘を受け、宮廷の専属料理人に命じて作らせたという伝承や、西太后が歯に負担をかけずに甘味を楽しむために好んだという記録が北京の老舗飲食記録に残されています。北京において「同和居(トンホアジュー)」が看板料理として確立して以来、一握りの特級厨師(最高ランクの料理人)のみに継承されてきた秘伝の技法です。