洗練の極みであるはずのモード系が、なぜネットの掲示板やSNSで「ダサい」「厨二病っぽい」「痛い」と揶揄されてしまうのか。ファッションコミュニティでの投稿分析や街頭観察のデータから、失敗に陥る着用者の共通項が浮かび上がってきました。
「痛い」と評される最大の理由は、「素材感を無視した安価な真っ黒コーデによるのっぺり感」です。黒はすべての光を吸収する色であり、生地の質感や織り、風合いが露骨に現れます。ポリエステルや化繊特有のテカリがあるアイテムだけで全身を固めると、陰影が生まれず、まるで「黒い塊」が歩いているような違和感を生んでしまいます。
第二の盲点は、服の主張に着用者が負けてしまう「着せられ感」です。ヨウジヤマモトに代表されるビッグシルエットや変形デザインは、本来、生地の余白と身体の関係性を楽しむもの。しかし、ヘアスタイルや立ち振る舞い、体型バランスとの調和が取れていない場合、単に「サイズの合っていない大きな服を着ている人」に見えてしまい、清潔感や知性が失われます。
第三に、服飾心理学でいう「心理的バウンダリー(過剰な防衛本能)」が周囲に威圧感を与える点です。全身を黒とシルバーアクセで過剰に武装した佇まいは、周囲に「他者を拒絶している」ような排他性を感じさせます。日常のカジュアルな場やデートシーンでこの重苦しさを持ち込んでしまうと、「近寄りがたい」「空気が読めない痛い人」という不名誉なレッテルを貼られることになります。