なぜ林氏は、これほどまでに強固な事業構築力を持つに至ったのでしょうか。その原点は、自身の挫折に満ちた受験生時代と学歴・出身大学に深く根ざしています。
千葉県立東葛飾高校という県内有数の進学校出身でありながら、高校時代は学問に身が入らず、大手予備校に年間数百万円を注ぎ込みながらも受験に失敗。複数年の浪人生活を余儀なくされました。その過酷な試行錯誤の中で「予備校の分かりやすい授業を聞いて満足しても、自分で問題集を完璧に解けるまで自学自習しなければ偏差値は絶対に上がらない」という真理を体得。独学による参考書学習に切り替えた結果、見事に学習院大学法学部政治学科への逆転合格を果たしました。
大学在学中の2004年、林氏はわずか20歳で株式会社A.verを設立。翌2005年、自身の原体験をそのままビジネスモデルへと昇華させた「武田塾」を立ち上げます。「日本初!授業をしない」という逆張りのブランディングは当初、教育関係者から激しいバッシングを受けました。しかし、生徒がサボれない徹底的な進捗管理と確認テスト、ルートと呼ばれる市販参考書の緻密なカリキュラムが、偏差値40台から早慶・国公立を目指す層の需要を捉え、爆発的なヒットを記録します。
特筆すべきは、直営展開に固執せずフランチャイズシステムを早期に導入した点です。校舎長に卓越した授業力を求めず、「生徒の学習マネジメント」に特化させたことで採用・研修の標準化に成功。わずか十数年で校舎数を400校超にまで押し上げ、教育業界に地殻変動を起こしました。