歌詞の冒頭で提示されるのは、極めて繊細で鋭利な感覚です。「あなたは直ぐに写真を撮りたがる あたしは何時も其れを厭がるの」という導入部に続き、彼女はその理由を「だって写真になっちゃえば あたしが古くなるじゃない」と看破します。
この一節には、「今、この瞬間にあなたと共有している生の美しさ」を固定化されたくないという願いと、永遠に色褪せない完璧な存在でいたいという少女の強烈なエゴイズムが同居しています。写真は過去の記録であり、写された瞬間から被写体は老いて死に向かっていきます。不可逆的な時間の流れに愛が侵食されることを何よりも恐れたからこそ、彼女はレンズを向けられることを頑なに拒みます。
さらに歌詞中では「泥濘(ぬかるみ)」のように足を取られて身動きが取れなくなる関係性や、「ぎゅっとしていてね」という幼児退行的な哀願が連続します。全文を通して通底しているのは、相手と一体化したいという激しい渇望です。衣服を脱ぎ捨てて皮膚と皮膚が接触するだけでは飽き足らず、相手の骨や血肉のレベルまで同化したいという願望が、「ギブス」という硬質な言葉の裏側に潜んでいるのです。