紅葉の喧騒を離れて静寂と向き合いたいなら、方丈を取り囲む「本坊庭園(八相の庭)」は外せません。昭和を代表する作庭家・重森三玲が1939年(昭和14年)に作庭したこの庭園は、国の名勝にも指定されている昭和モダニズム庭園の最高峰です。
方丈の東西南北に配された4つの庭は、釈迦の生涯にちなんだ「八相成道(はっそうじょうどう)」を表現しています。特に有名なのが北庭に広がる敷石とウマスギゴケが織りなす市松模様です。廃材となった恩賜門の敷石を再利用し、幾何学的なグリッドパターンへと昇華させたデザインは、伝統的な日本庭園の枠組みを打ち破る斬新さで今なお世界中のクリエイターに衝撃を与えています。
南庭のダイナミックな巨石による蓬莱神仙思想の表現、西庭のサツキの刈り込みが描く市松、東庭の円柱石による北斗七星の配置など、四者四様のコンセプチュアルな美意識が凝縮されており、訪れる時間帯の光の角度によって全く異なる表情を見せてくれます。