ワイヤーハーネスは、かつて「手作業による組み付け比率が高い労働集約的な製品」とされていました。しかし、近年の電気自動車(EV)普及や車両制御の高度化に伴い、技術的な難易度は飛躍的に上昇しています。矢崎部品ものづくりセンターが注力する技術開発の実態は、主に次の3つの領域に集約されます。
第一に、「EV向け高電圧ハーネスの高速・自動化加工技術」です。大電流・高電圧を扱うオレンジ色の太物ハーネスは、従来の低電圧配線とは異なり、厳格な電磁シールド処理や強固な絶縁端子の接合が求められます。ものづくりセンターでは、これらを高精度かつ短サイクルで自動処理する専用工作機械や溶接技術を内製開発しています。
第二に、「車両軽量化に直結するアルミ電線加工技術」の確立です。従来の銅電線からアルミ電線への置き換えは車体軽量化の要ですが、アルミは酸化被膜ができやすく、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)を起こしやすい課題があります。同センターでは、特殊な防食端子を確実に圧着・封止する独自設備を開発し、量産信頼性を極限まで高めています。
第三に、「画像認識AIとロボティクスを活用した自動検査システムの構築」です。何百本もの細い電線が複雑に入り組むワイヤーハーネスにおいて、誤配線や端子の半挿入は重大な車両トラブルに直結します。センター内では、超高解像度カメラとAIディープラーニングを組み合わせたインライン検査装置が開発され、人の目視に頼らない不良流出ゼロ体制を追求しています。