「木材の狂い」と呼ばれる反りやねじれの現象は、単なる経年劣化ではなく、木材組織が持つ異方性(方向による物理的性質の違い)によって引き起こされます。森林総合研究所などの研究機関が公表している木材物理データによると、木材が乾燥する際の収縮率は方向ごとに大きく異なります。
具体的には、幹の長手方向(繊維方向)の収縮率を「0.1%程度」の基準と置いた場合、幹の中心から放射状に伸びる「放射方向」の収縮率は約3〜5%であるのに対し、年輪の接線に沿った「接線方向」の収縮率は約6〜10%に達します。つまり、接線方向は放射方向の約1.5倍から2倍も大きく収縮する物理特性を持っています。
板目材を断面で見たとき、木表側は年輪の接線方向に近い成分が多く含まれるため収縮量が大きくなり、木裏側は放射方向に近いため収縮量が小さくなります。この板の表裏における収縮量の不均衡によって、収縮率の大きい木表側が強く引っ張られ、「木表が凹、木裏が凸」となる弓なりの反りが必然的に発生するのです。
室内の相対湿度が低下する冬季には木表側の水分が奪われて反りが顕著になり、逆に梅雨時期などの高湿度環境では木表側が水分を吸収して平坦に戻ろうとします。この環境連動型の寸法変化をあらかじめ計算に入れて設計することが、無垢材を扱う上での核心となります。