パドキア共和国デントラ地区にそびえるククルー山。その標高3,722メートルの頂に居を構えるゾルディック家の敷地前で、ゴン、レオリオ、クラピカの3人は異様な怪物と対峙しました。体長数メートルに及ぶ巨躯、剥き出しの牙、そして何よりも異様な「死んだ魚のような瞳」を持つ番犬ミケです。
くじら島の大自然で育ち、凶暴なキツネグマや「沼の主」とも難なく心を通わせてきたゴンにとって、動物は常に意思疎通が可能な対象でした。しかし、ミケと視線が交錯した瞬間、ゴンは全身を硬直させ、脂汗を流しながら一歩も動けなくなります。ゴンが感じ取ったのは、敵意や怒りといった生々しい感情ではなく、「プログラミングされた機械のような完全なる無感情」でした。
当時の様子について、門番を務める執事のゼブロは「あいつの頭には10年前から主人の下した『侵入者をすべて噛み殺せ』という命令しか入っていない」と語っています。言葉や威嚇、情愛といったアプローチが1ミリも届かない絶対的な拒絶の壁こそが、ゴンを芯から震え上がらせた最大の要因でした。