「夢の中で目が覚めたのに、それもまた夢だった」。映画『インセプション』を思わせる階層状の多重夢や、追いかけられるような悪夢を頻繁に見る体験は、単なる不快感にとどまらない。覚醒後も強い現実感や恐怖感が残り、精神衛生を著しく損なう危険を秘めている。
脳が休まらない状態が長期化すると、入眠そのものに対する恐怖心が芽生える。「今夜もまた疲れる夢を見るのではないか」という予期不安が心身を強張りさせ、さらなる交感神経の興奮を誘発する負のループが完成してしまう。脳内で不安や恐怖を司る扁桃体が過剰に活動し続けることで、心身の平穏が静かに削り取られていくのだ。