2018年4月7日、日本サッカー界に激震が走りました。日本サッカー協会(JFA)が、ロシアW杯アジア最終予選を突破させたヴァイッド・ハリルホジッチ監督の電撃解任を発表したのです。本大会開幕まで残り約60日という段階での監督交代は、日本代表史上前代未聞の危機的状況でした。
当時の取材記録や公式会見で明かされた解任の主因は、「選手とのコミュニケーション不足と信頼関係の急速な悪化」でした。ハリルホジッチ監督が求めた極端なデュエル重視と縦への速い攻撃(ダイレクトフットボール)は、香川真司や本田圭佑、長谷部誠といった、ボールを保持しながら主導権を握るスタイルで実績を築いてきた主力選手たちの感覚と乖離していきました。2018年3月の欧州遠征(マリ戦、ウクライナ戦)での低調な試合内容とチーム崩壊の兆候が決定的となり、JFA上層部は苦渋の決断を下しました。
後任として急遽ホワイトハウスに座ったのが、当時JFA技術委員長を務めていた西野朗氏でした。西野監督が採ったアプローチは、ハリルホジッチ時代のトップダウン型統率とは対極をなす「徹底した対話型マネジメント」でした。監督自らが選手一人ひとりと膝を突き合わせ、「自分たちの強みであるパスワークと規律をベースに世界と戦う」という合意を形成。この柔軟かつ大胆な権限委譲が、バラバラになりかけていたサムライブルーを短期間で結束させる最大の要因となりました。