インターネット上の掲示板やSNSで「小さなムカデをティッシュで潰したら翌日腕が火傷のように爛れた」という投稿が散見されます。このトラブルの主犯は、ムカデではなくアオバアリガタハネカクシ(別名:やけど虫)です。
アオバアリガタハネカクシは、水田や湿地、草むらなどに生息する甲虫ですが、走光性が強く、夏の夜間に窓ガラスや網戸の隙間をすり抜けて室内の照明に引き寄せられます。体格が細長いため、パッと見で「羽のない小さなムカデ」と誤認されがちです。最大の問題は、この昆虫の体内組織液に含まれる「ペデリン」という強力な接触毒です。
この虫は人間を針で刺したり噛んだりすることはありません。皮膚にとまった虫を反射的に手で払い落としたり、叩き潰したりした瞬間に体液が皮膚に付着します。付着直後は自覚症状がありませんが、数時間から12時間ほど経過した後に激しい痒みと発赤が生じ、やがて水疱(水ぶくれ)や膿疱を伴う線状皮膚炎へと悪化します。まるで線香の火や熱湯を浴びせられたような痕が残ることから「やけど虫」の俗名で恐れられています。
室内で見慣れない細長い虫が肌にとまった際は、絶対に手で叩き潰さず、息を吹きかけたり紙に乗せたりして静かに払い落とすことが鉄則です。もし体液が触れた疑いがある場合は、擦らずに直ちに大量の流水と石鹸で洗い流し、皮膚科を受診してください。