「黄熱病の発見が間違いだったのなら、なぜ野口英世はこれほど偉人として称えられ、千円札に選ばれたのか」という疑問は少なくありません。その答えは、彼が成し遂げた他の圧倒的な医学的発見と、近代日本が誇る人間像にあります。
野口英世がノーベル生理学・医学賞の有力候補に通算3回(1913年、1914年、1920年など複数回ノミネート)推薦された最大の理由は、1911年に発表した梅毒スピロヘータの脳内証明です。当時、原因不明の不治の精神疾患と恐れられていた「進行性麻痺」患者の脳から梅毒病原体を発見し、精神疾患が感染症の後遺症であることを世界で初めて実証しました。この発見は当時の医学界に絶大な衝撃を与え、ノーベル賞受賞に極めて近い位置にいました。
また、2004年に財務省および日本銀行によって千円札の肖像に野口英世が選ばれた理由には、以下のような明確な背景が存在します。
- 世界基準の科学者像:明治維新以降、国際舞台でトップレベルの評価を受けた日本人科学者の先駆者であること。
- 逆境を克服した人間力:幼少期に負った左手の火傷や極貧の環境に屈せず、独学と努力で道を切り開いた立志伝中の人物であること。
- 文化・学術の象徴:従来の政治家中心の紙幣肖像から、学術・文化・国際平和を重んじる紙幣刷新の方針に合致したこと。