自己嫌悪の泥沼に沈み、鬼殺隊で命を削るように戦い続ける小芭内の前に現れたのが、恋柱・甘露寺蜜璃だった。底抜けに明るく、食べることを心から楽しみ、誰に対しても分け隔てなく情熱を注ぐ彼女の存在は、陰惨な過去に縛られた彼にとって眩しすぎる救済の光だった。
小芭内が蜜璃に贈った縞模様の靴下は、単なる好意の印ではない。特異な筋肉密度と食欲ゆえに周囲から疎外され、ありのままの自分を隠そうとしていた彼女の個性を、丸ごと肯定する誓いの証だったのだ。しかし、彼は決して自ら想いを告げようとはしなかった。「鬼のいない平和な世界で、もう一度人間に生まれ変われたら、その時は好きだと伝える」。自らの血の穢れを清算するまでは、彼女の純白な魂に触れることすら許されないという、あまりにも切なく過酷な抑制。この美しくも痛々しい献身が、読者の涙腺を決壊させる。